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いじめられてトイレにいけず

真新しいブレザーがなんだか恥ずかしい。いつもは後ろで束ねる髪を
今日はほどいて、お姉さんみたいな髪型。胸につけられた花の下に、紅白のリボン。
恵はきゃっきゃとはしゃぐクラスメイト達に目も向けず、自分の席に座っていた。
佐野原恵の通う小学校は、県内でも有数の有名私立。ほとんどの児童が
エスカレーター式に同系の中学に進学することが約束されたこの学校では、
卒業式には中学の制服を着ることが流行というか、ほとんどお決まりの習慣だった。
今日はその卒業式。この先、メンバーも通う学校も変わらないとはいえ、
やはり一生の中では大きな舞台だ。とくにまだ小学6年生のめぐみ達にとっては。
 ただ、中学でもメンバーが変わらないというのは恵にとってはあまり
嬉しいものではない。大人しく、あまり主張することもできない性格。
小学生にしては大人びた外見と可愛らしいその顔も、同級生達の反感を買った。
クラス中というわけではないが、大半の子は話もしてくれない。
恵にかまってくれる子といえば、いじめっ子グループの悠里、真琴、千春。
学校を変わりたいと親に訴えたこともあったが、せっかくの有名私立に入学できた
ことは親にとってはかねてない喜び。その願いが許されるはずもなかった。
 そして、恵が今のクラスメイト達と離れたい理由はもう一つあった。もしかしたら、
これさえなければそれほど離れたいとは思わなかったかもしれない。
つい先月のこと。6年生にもなった恵にとっては、あれ以上の恥はなかった。
今でも一番忘れたい、悪夢のような現実。
 授業中、なんの理由だったかは忘れたが、クラスが先生のお説教を受けていた。
毎時間が担任の先生による授業である小学校のこと、小言は休み時間も関係なく
長々と続いた。そこで恵の悲劇は起こったのだった。
金谷今日子先生は、普段は温厚だ。優しくて児童の人気も高い。そんな先生も、
一旦怒り出すとなかなか止まらないのだ。ちょっと授業が騒がしかったと言う理由で
始まった先生の小言は、冬休みの宿題を未だに持ってこない子がいることや、最近の
テストの出来が悪いことまで引っ張り出して、どんどんエスカレートしていった。
「大体授業中に先生の話を聞かないっていうのはどういうことなの!あなたたちも
 もうすぐ中学生なのよ。中学に行ったら…」
先生の怒りはなかなかおさまりそうにない。そんな中、恵はつまらない小言よりも
他のことで頭がいっぱいだった。
(ああ、トイレ行きたいよぉ…)
もじもじと体を揺り動かしていた恵は、チャイムがなっても先生のお説教が
終わらないことに絶望していた。
(ダメだよ…出ちゃう…)
先生に言ってトイレに行かせてもらおうかと考える。しかし、もともと内気な恵は、
こんな状況でそれを言い出すことが出来なかった。
出口のすぐそこまで迫ってきたおしっこが、そこをこじ開けようと
いじわるに責めたてる。ぶるっと身を震わせた。
(あ、あ、漏れちゃう…)
その時、一番前の席に座ったゆかりが、すっと手上げた。
「先生…トイレ行ってきていいですか…」
一瞬、金谷先生の表情が凍り付く。
「今大事な話をしてるんです!」
「でも…」
なんだか泣きそうな表情のゆかりに、先生も助け舟を出した。
「…しようがないわね。いってらっしゃい」
席を立ったゆかりは、はずかしそうにそそくさと教室を出ていった。
そしてまた小言が再開する。
(私も…。…言えないよ…)
2人目となれば先生もすんなり行かせてくれるかも、もしかしたら小言も
終わるかもしれない。しかし恵がその口火となることは出来なかった。
当然、やがて限界が訪れる。
(あ、ああああ…)
「先生…」
恵が蚊の鳴くような声をあげる。それは先生の元まで届かず、
周りの数人だけがそれに気付き、そして異変に気付く。
ぽたぽたと、恵の椅子の下の床を濡らす液体。股を押さえたままうつむいている恵。
「先生ー。佐野原さんが…」
その日は保健室で服を借り早退、次の日、憂鬱な気持ちで教室の戸を開けた
恵は、悠里たちの恰好の標的となった。
今ではそれをネタにいじめられることも少なくなったが、それは恵の頭から
離れることのない忌まわしい体験だった。ふぅと小さなため息をつき、
これからも続くこのメンバーの学校生活を憂いていると、悠里たち3人が
恵のもとにやって来た。
「佐野原ー、いい格好してるねー」
同じく中学の制服に身を包んだ悠里たち。なんとなく3人を見上げていると、
真琴がとんと机の上に何かを置いた。
「今までいじめててごめんねー。私らももう中学生だから、
 そういうのやめるからー。お詫びにこれあげる。」
机の上に置かれたのは、500mlのお茶のペットボトルだった。
「飲んでいいよー」
わけがわからずにペットボトルと真琴の顔を交互に見つめる恵に、
千春が言った。
「これ先生に見つかったらおこられるんだからー。早く飲んじゃいなって」
悠里に促されて口をつけるが、いくらなんでもこの量は多すぎる。
しかし早くペットボトルを捨てなきゃと悠里たちに急かされて、恵は
なんとかそれを飲み干した。これを飲んでしまえば悠里たちも自分にかまわなく
なるのではと期待を込めたが、悠里たちは恵の席の前でそのまま談笑を始めた。
一気に500mlものお茶を流しこんだお腹が、たぷたぷと苦しい。
やがて金谷先生が入ってきて、最後のHRが始まった。
長い先生の話。なんだかしんみりとした空気が教室に流れる。
「それじゃあ、10時から式が始まるからね。最後に立派な姿で
 お父さんお母さんを喜ばせてあげましょうね」
その声を皮きりに、生徒たちがわーっと先生の周りに集まる。その輪に
加わらずに席を立った恵の前に悠里たち3人が立ちはだかった。
(…?)
「ねー、佐野原さぁ、中学でも同じクラスになれたらいいねー」
冗談じゃないと思いながら恵は曖昧にうなずく。その後も、なんということもない
質問や会話が続いた。話しの合間をぬってたちあがろうとしてもすぐに引き止められる。
業を煮やした恵がとうとう口にした。
「あの、ちょっとトイレ行ってくるね…」
「ちょっと待ってよー。それでさ…」
その時感じた嫌な予感は、正解だった。最後には強引に席に座らされ、
トイレに行けないままに式の始まる時間になった。
(ああ、そんな…)
廊下に整列して体育館に向かう。卒業生の入場までの間、体育館の前で
待つことになる。その間、高まる尿意を式の間中我慢できるだろうかと
恵は不安になった。そうとは言わなかったが、悠里たちはこういう
魂胆だったのだろうか。恵が忘れたい過去を、もう一度再現させようという。
まもなく扉が開いて、はなやかに卒業式が始まった。
在校生や親たちの間を通って、自分たちの席につく。
送辞、答辞、校長先生の話、PTA会長の話、全てが長く長く感じられる。
そろそろ我慢が限界に達しようかというころ、合唱が始まった。
昔ながらの「仰げば尊し」。そのゆるやかなメロディさえもが自分を
いじめているように感じる。たちあがった体勢は、よけいに恵の下半身を
刺激する。
(あー…助けてぇ…)
歌が続く間、もじもじと体の動きが止まらない。生徒たちの列の中で、周りから
見えないことをいいことに手を股間に当てる。だが、その下から溢れそうなおしっこは
その力を少しも緩めようとしなかった。長い歌が終わって、ようやく椅子に座れる。
座ると少しは尿意がおさまるが、この次はステージの上に立って卒業証書を
受け取らなければいけない。その行為に自分の下半身が耐え切れるかどうか、
恵はほとんど自信がなかった。しかし、この大舞台でそんな阻喪をすることは
絶対に避けなければいけない。あともう少しだけ、それさえ終われば、恥ずかしいが
トイレに行かせてもらうしかない。自分の後も100人以上も続くことを思うと、
それ以上の我慢は無理に思えた。なんとか自分の番を終わるまで…。
恵は祈るように自分の名前を呼ばれるのを待った。
 1組から順に、ステージに上がっていく。ステージ横でみんなのほうを向いて立ち、
名前を呼ばれて真ん中の校長先生の前へ。立ちあがると今にも漏れてしまいそうな今、
ステージ横での一呼吸が一番の難関に思える。
恵は3組の6番。あと15分程度だろうか。恵は必死で我慢を続けた。
今ならトイレに行っても間に合うかもしれない。まだ間に合うかもしれない。
そう考えている内にも時間が過ぎて行く。どうにも決心がつかないまま、
とうとう3組の1番の子の名前が呼ばれた。出席順に2列で座っているので、
3番目の子がいなくなると恵の前の席が空いた。
その椅子の背に両手を当てて、前かがみになる。
「久保田美紀子」
何度も練習した卒業証書の受け渡し。この名前が呼ばれると、自分がステージに
上がる番だ。恵は意を決して立ち上がり、ふらつく足でステージに向かった、
「河野唯」
前の子が呼ばれて、自分がステージに上がる。大勢の在校生、卒業生、父兄たちの前で、
恥ずかしいながらももじもじというしぐさはやめられない。
立ちあがった時の尿意は、自分が思っている以上のものだった。
前を向いて立ち止まると、いっそうの波が恵を襲う。気を付けで直立不動で
いなければならないのに、恵は少し前かがみのままでゆらゆらと体を揺らさずに
いられなかった。ステージの上から悠里と千春と真琴の顔が見える。
にやにやとステージ上の恵を見ている。思うつぼ、なのだろうか。
もともとざわついていた場内が、ステージに上がるとよけいにうるさく感じられる。
自分の姿を見て、みんな笑っているのではないだろうか。おしっこを我慢して
いることが一目瞭然なのかもしれない。しかし、そんなことよりも恵の下半身は
限界を迎えていた。朝に一度トイレに行っただけ。学校に来て500mlもの
お茶を飲まされ、もう2時間くらいだろうか。
(ああ…だめだ…)
びくびくと震える尿道に呼応するように、体が痙攣した。思わず股間に伸ばした手を
慌てて引っ込めて、ちらっと横を見ると前の生徒が礼をしていた。
「佐野原恵」
すぐに自分の名前が呼ばれる。脚をもじもじと動かしたいが、もう一歩も動けない。
ここから少しでも動いたら漏れてしまいそうだ。だがそういうわけにもいかず、
半ばあきらめを感じながら恵は足を踏み出した。
一歩、二歩。双眼鏡を逆に覗いたように、真ん中のテーブルが遠く見える。
ばれないように、気付かれないようにできるだけまっすぐ立ったつもりで
歩いているとき、とうとう限界の波が恵を襲った。
どくんと脈打つように拍動した尿道。それにあわせるように、恵の下着の中が
少しだけ温かくなる。
(あ、ああっ…)
頭の中でパニックが起こるが、足を止めずに歩く。ぴくん、ぴくんと脈打ちながら、
恵の下着の中に少しずつおしっこがこぼれはじめた。
やっと校長先生の前に辿り着いて、足を止めるともう限界だった。
(だめ…だめ…)
すでに容量を越えるほど濡れた下着が、これ以上は受け止め切れないというように
おしっこを通し始める。ぎこちない礼。とうとう太ももを伝いはじめる。
(あ、あ、あ…)
おめでとう、とにこやかな校長先生から証書を受け取り、膝を伝ったおしっこが
ハイソックスにしみこむ。それでもなんとか勢いを殺していたおしっこは、
そこで猛り狂った。
じゃーっと耐えかねたように溢れ出す。たまらずにしゃがみこんだ恵は、
校長に証書を手渡していた女の先生が驚いてかけよるのも、一番前に座っていた生徒が
下から指差すのも目に入らない。
わーっとざわついた体育館が、事情を理解すると同時に嘲笑と哀れみを起こす。
顔を覆って動けない恵の肩を駆け寄った女教師が抱くが、恵はどうしても顔を
あげられなかった。
おしっこが止まったお尻から、ぽたぽたとしずくがたれ落ちる。
これで二回目、それもこんな大舞台で。初めて袖を通した制服を汚して
泣きじゃくる恵。
こんなことになっちゃったら、お母さんも転校させてくれるかな…。頭の片隅で
そんなことを考え、辛かった小学校生活が頭の中でぐるぐる回る。
そうだ。卒業なんだ。今日で、みんなとお別れ。
中学校はきっとここには来ない。ぬるい水溜りの中でしゃがんだまま、
そっと仲良くもない顔たちに別れを告げる。
そう、もう誰とも会わないから。誰も知らないところに行くんだから…。
やまないざわめきをよそに、恵の中で楽しい中学校生活が始まる。
「私、佐野原恵。よろしくね」
知らないたくさんの顔が笑顔に染まる。
「え、前いたところ?忘れちゃった…」
可愛らしい顔に妬みを見せる者は、誰もいない…。
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おもらし小学生 | [2012-10-29(Mon) 21:53:00] | Trackback:(0) | Comments:(0) | [編集]
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