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駆け込んだ電車でのお漏らし
ある日の朝、俺は出勤のために電車に乗っていた。
この車両は特急で、一度乗ると次の停車駅までに要する時間は最低でも20分だ。
朝の通勤ラッシュ、車両内は非常に混みあっている。
次の駅で大抵の乗客は降りていくので、着けばある程度の空間が出来る。
俺が降りるのはその次の駅で、次の駅からの所要時間は35分程だ。
駅に着き、雪崩のように人が降りていった。車内は先程と比べややがらりとしてきた。
駅員は発車アナウンスをする。と同時に俺が乗っている車両の扉には一生懸命走る振袖に袴姿の女性が見え、扉が締まりそうになった時にうまく駆けこんだ。
「駆け込み乗車は大変危険です!」
車掌のアナウンスが車内に響きわたった。俺が乗った車両から階段の距離は非常に短く、駆け込み乗車をする人は毎日いるであろう。
その駆け込み乗車した女性は恐らく今日、卒業式なのだろう。
息をきらした彼女は何回も深呼吸をし、窓際に立っている。
着付けに時間がかかって電車に間に合わなくなりそうになったのだろうか?
それにしても、着物姿でよくそんなに早く走れるものだと思った。
俺は彼女の姿に釘付けであった。
いつみても和服姿という物は良いものだ。
迷惑がかからない程度に、彼女の方を見続けた。
呼吸を整えたかに見えた彼女だったが、なんだか様子がおかしい。
落ち着きの無いような感じに見えるのだ。
俺はしばらく彼女のしぐさをウォッチングすることにした。
次の停車駅まで15分を切った。
その時、彼女の様子が激変した。何回も時計を見ながらうつむきながら何かに耐えるような表情をしている。
この位置からでは上半身しか見えないが、いったいどうしたのであろうか?
非常に落ち着きがないのだ。
車掌がやってきた。彼女は車掌に小さくこう言っていた。
「あの・・・お手洗いは?」
俺は今やっとわかった。彼女はトイレを我慢していたのだった。
「この車両にはお手洗いはついておりません。」
と車掌の声が聞こえた。
「すいません、○△駅まで。」
と乗り越しらしき乗客が車掌を呼んだ。
次の停車駅まで5分を切った頃。
彼女は非常に辛そうな表情を見せた。こちらからはよく見えないが、相当足を組み変えて我慢しているのではないだろうか。
それにしても、彼女の周りにいる人間は、なんて冷たい人たちばかりなのだ。
誰か一人くらいは優しく声をかけてあげてもよいのに・・・。
「次は○○駅、○○駅に止まります。
△△駅まで止まりません。☆☆駅にはお降りのホーム向かい側に停車の普通列車をご利用下さい。」
車掌のアナウンスが聞こえた。
彼女はうつむかせていた顔を上げ、停車をじっと待つような感じだった。
俺も次の駅で降りるので、網棚から鞄を取り降車準備をする。
「○○駅ー、○○駅ーー」
車両はスピードを落とし、窓からは駅のホームが見えた。
車両は停車し、ドアが開いた。俺は降車する人間に並び、ホームへと降りた。
先程の彼女はホームへ降りるなり突然走り出した。
彼女はあっという間に遠くのトイレの方角に消えていきそうになった。
が、その時であった。
彼女は突然走るのをやめ、しゃがみこんでしまった。
俺は彼女はぞうりが痛くてしゃがんだのだと思った。
俺が彼女の方へ近づいて行こうとしたとき、まわりに居たおばさんがしゃがんだ彼女の異変に気がつき、声をかけていた。
そのおばさんが彼女に話し掛けたあと、抱えて立たせた時であった。俺の目にとんでもない光景が飛び込んできた。
彼女の緑色の袴のお尻の部分が丸く濃く変色していたのだ。
俺は彼女が座りこんだ位置に行き、丸く湿ったホームを見て確信した。
「彼女は漏らしたんだ・・・」
彼女はおばさんに抱えられながら大きな声をあげて泣きながら歩いていた。
かわいそうな彼女。今から卒業式に行くはずだったのだろうに、本当にかわいそうだ。
俺はそんな彼女をゆっくり見届けながら、改札を出て行った
この車両は特急で、一度乗ると次の停車駅までに要する時間は最低でも20分だ。
朝の通勤ラッシュ、車両内は非常に混みあっている。
次の駅で大抵の乗客は降りていくので、着けばある程度の空間が出来る。
俺が降りるのはその次の駅で、次の駅からの所要時間は35分程だ。
駅に着き、雪崩のように人が降りていった。車内は先程と比べややがらりとしてきた。
駅員は発車アナウンスをする。と同時に俺が乗っている車両の扉には一生懸命走る振袖に袴姿の女性が見え、扉が締まりそうになった時にうまく駆けこんだ。
「駆け込み乗車は大変危険です!」
車掌のアナウンスが車内に響きわたった。俺が乗った車両から階段の距離は非常に短く、駆け込み乗車をする人は毎日いるであろう。
その駆け込み乗車した女性は恐らく今日、卒業式なのだろう。
息をきらした彼女は何回も深呼吸をし、窓際に立っている。
着付けに時間がかかって電車に間に合わなくなりそうになったのだろうか?
それにしても、着物姿でよくそんなに早く走れるものだと思った。
俺は彼女の姿に釘付けであった。
いつみても和服姿という物は良いものだ。
迷惑がかからない程度に、彼女の方を見続けた。
呼吸を整えたかに見えた彼女だったが、なんだか様子がおかしい。
落ち着きの無いような感じに見えるのだ。
俺はしばらく彼女のしぐさをウォッチングすることにした。
次の停車駅まで15分を切った。
その時、彼女の様子が激変した。何回も時計を見ながらうつむきながら何かに耐えるような表情をしている。
この位置からでは上半身しか見えないが、いったいどうしたのであろうか?
非常に落ち着きがないのだ。
車掌がやってきた。彼女は車掌に小さくこう言っていた。
「あの・・・お手洗いは?」
俺は今やっとわかった。彼女はトイレを我慢していたのだった。
「この車両にはお手洗いはついておりません。」
と車掌の声が聞こえた。
「すいません、○△駅まで。」
と乗り越しらしき乗客が車掌を呼んだ。
次の停車駅まで5分を切った頃。
彼女は非常に辛そうな表情を見せた。こちらからはよく見えないが、相当足を組み変えて我慢しているのではないだろうか。
それにしても、彼女の周りにいる人間は、なんて冷たい人たちばかりなのだ。
誰か一人くらいは優しく声をかけてあげてもよいのに・・・。
「次は○○駅、○○駅に止まります。
△△駅まで止まりません。☆☆駅にはお降りのホーム向かい側に停車の普通列車をご利用下さい。」
車掌のアナウンスが聞こえた。
彼女はうつむかせていた顔を上げ、停車をじっと待つような感じだった。
俺も次の駅で降りるので、網棚から鞄を取り降車準備をする。
「○○駅ー、○○駅ーー」
車両はスピードを落とし、窓からは駅のホームが見えた。
車両は停車し、ドアが開いた。俺は降車する人間に並び、ホームへと降りた。
先程の彼女はホームへ降りるなり突然走り出した。
彼女はあっという間に遠くのトイレの方角に消えていきそうになった。
が、その時であった。
彼女は突然走るのをやめ、しゃがみこんでしまった。
俺は彼女はぞうりが痛くてしゃがんだのだと思った。
俺が彼女の方へ近づいて行こうとしたとき、まわりに居たおばさんがしゃがんだ彼女の異変に気がつき、声をかけていた。
そのおばさんが彼女に話し掛けたあと、抱えて立たせた時であった。俺の目にとんでもない光景が飛び込んできた。
彼女の緑色の袴のお尻の部分が丸く濃く変色していたのだ。
俺は彼女が座りこんだ位置に行き、丸く湿ったホームを見て確信した。
「彼女は漏らしたんだ・・・」
彼女はおばさんに抱えられながら大きな声をあげて泣きながら歩いていた。
かわいそうな彼女。今から卒業式に行くはずだったのだろうに、本当にかわいそうだ。
俺はそんな彼女をゆっくり見届けながら、改札を出て行った
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